
ECサイトの売上を伸ばすための15種類の施策!売上方程式と売上アップのポイントとは?
日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、経済産業省の「令和5年度電子商取引に関する市場調査」によると、24.8兆円(前年比9.23%増)にまで拡大しています。
このようなEC市場の競争激化により、多くの担当者がECサイトの売上を伸ばすための施策の必要性を感じているのではないでしょうか。
ECサイトの売上を伸ばすための手法は多くあり、各サイトの課題に応じた施策を実施することで、売上アップが期待できます。
ただし、ECサイトの売上を伸ばすためには、サイト自体の改善だけでなく、バックオフィスでの配送スピードや返金対応、商品そのものの見直しなど多面的な取り組みが必要です。
この記事では、ECサイトの売上を伸ばすための15種類の施策と、押さえておくべき「売上方程式」について、また売上アップのポイントについて解説します。
目次
ECサイトの売上が上がらない主な要因
ECサイトの売上が伸びない主な理由として、以下の3つの要因が考えられます。
- 訪問者数が少ない
- 購入率が低い
- 客単価(購入単価)が低い
サイトへの訪問者が十分に確保できていなければ売上は伸びないため、訪問者数が目標を達成しているか確認し、集客施策を強化することが求められます。
また、集客施策を実施しても売上が上がらない場合は、購入率や客単価が低いことが原因かもしれません。これらの原因を分析し、具体的な改善策を検討することが重要です。
ECサイトの売上アップのために押さえておくべき「売上方程式」とは
ECサイトの売上を向上させるために、まずは「売上を構成する要素」を理解することが重要です。ECサイトの売上は、次の方程式で計算できます。
ECサイトの売上 = 訪問者数 × 購入率 × 客単価 |
それぞれの言葉の意味は、以下の通りです。
- 訪問者数(アクセス数):ECサイトにアクセスしたユーザーの数
- 購入率(CVR/コンバージョン率):アクセスしたユーザーのうち実際に購入した割合
- 客単価(購入単価):1ユーザーが1回の注文で購入する平均金額
例えば、月間の訪問者数が1万アクセス、購入率が3%、客単価が3,000円の場合、月間売上は次のように計算できます。
1万アクセス × 0.03 × 3,000円 = 90万円/月 |
この3つの要素のいずれかが低いままでは、売上の増加は見込みにくくなってしまいます。そのため、売上アップを目指すためには、これら3つの要素をバランスよく改善していく必要があります。
ECサイトの売上を伸ばすための施策
ECサイトの売上を増やすためには、さまざまな取り組みが求められます。ここでは、ECサイト自体の改善によって売上アップを目指す施策を次の3つの要素に分け、計10種類ご紹介します。
- 訪問者数
- 購入率
- 客単価(購入単価)
訪問者数(アクセス数)を増やす施策
ECサイトで売上を伸ばすためには、集客力を強化することが重要です。訪問者数を増やし、ユーザーを商品ページに誘導することで、売上アップにつながります。
まずは、訪問者数を増やすための次の3つの施策について解説します。
- SEO対策の強化
- オンライン広告の活用
- SNSを活用した集客
SEO対策の強化
SEO(検索エンジン最適化)は、検索エンジンでの表示順位を高めるための施策であり、適切に対策を行うことで訪問者数を増やすことが期待できます。
具体的には、以下のような手法があります。
手法 | 概要 |
---|---|
キーワード選定 | ターゲット層がよく使用する検索キーワードを調査・選定し、商品ページやブログ記事に組み込む |
コンテンツ作成 | キーワードに基づいた役立つコンテンツを定期的に作成する |
メタタグの最適化 | メタタグは、ECサイトの情報を検索エンジンやブラウザに伝えるためのHTMLタグであるため、適切に設定する |
SEOを強化する方法はさまざまあり、検索エンジン側の評価基準も不定期で変化するため、最新情報をキャッチし、対応することが重要です。
オンライン広告の活用
オンライン広告は、ECサイトの集客力を短期的に高められる方法の一つです。Google広告やSNS広告など、適切な広告媒体を選ぶことで、ターゲット層に合わせて訴求できます。
ECサイトで活用できるオンライン広告には、次のようなものがあります。
広告の種類 | 概要 |
---|---|
リスティング広告(検索連動型広告) | 検索エンジンの検索結果ページに表示される広告で、特定のキーワードに基づき表示される |
ディスプレイ広告 | Webサイトやアプリ上に画像や動画として表示される広告 |
リマーケティング広告(リターゲティング広告) | サイトを訪れたことのあるユーザーに対して広告を再表示させる広告 |
SNS広告 | 各SNSのプラットフォーム上で配信される広告 |
Googleショッピング広告 | Google検索結果に、商品画像・価格・ショップ名が表示される広告 |
アフィリエイト広告 | 提携したサイトやインフルエンサー経由で商品を紹介し、購入や成約に応じて報酬が発生する広告 |
記事広告(タイアップ広告) | メディアやインフルエンサーが自社商品を紹介する記事を作成し、自然な形で商品の魅力を伝える広告 |
オンライン広告はECサイトの集客力を向上させる有効な手段ですが、運用時にはターゲットの明確化や広告予算の適正管理を意識し、効果測定を行いながら改善を繰り返すことが重要です。
SNSを活用した集客
SNSは多くのユーザーに直接リーチできるため、ECサイトへの集客に有用です。Instagram、X(旧Twitter)、Tiktok、Facebookなど、ターゲット層が多く利用しているSNSを利用することがポイントです。
SNSを活用した手法として、以下が挙げられます。
手法 | 概要 |
---|---|
コンテンツ投稿 | ECサイトのアカウントを作成し、定期的な投稿を行ってブランドの露出を増やす |
キャンペーン実施 | SNS上でフォロワー限定の割引キャンペーンやプレゼント企画を行い、ECサイトへのアクセスを促進する |
SNSによる集客を図る際には、投稿内容やキャンペーンがターゲットに合致しているかを意識し、フォロワーの反応や効果を定期的に分析しながら運用改善を行うと良いでしょう。
購入率(CVR)を向上させる施策
ECサイトの売上を伸ばすためには、サイト訪問者の購入率(CVR)を向上させることが重要です。続いて、購入率を高めるための施策として、次の5つをご紹介します。
- 商品情報の充実
- カゴ落ち対策
- 決済方法の充実
- レビュー機能の実装
- 入力フォームの最適化(EFO)
商品情報の充実
ECサイト内の商品情報を充実させ、詳細な内容を提供することで、購入を迷っているユーザーに安心感を与え、購入率の改善を図れます。
具体的には、商品のスペック・サイズを記載することや、使用方法や商品に関する画像・動画を用意するなど、分かりやすい形で情報を提供しましょう。
また、FAQセクションを追加し、よくある質問に回答することで、ユーザーの購入前の不安を解消できます。
カゴ落ち対策
カゴ落ちとは商品がカートに入っても購入に至らない現象であり、カゴ落ちが多い状態は購入率を低下させてしまいます。
そのため、カゴ落ちが起こりやすい要因を分析し、カートやサイトからの離脱が多い場合はリマインドメールを送るなどの施策を実施しましょう。リマインドメールに割引コードや送料の特典を付けることで、購入意欲を高められる場合もあります。
決済方法の充実
ユーザーが利用しやすい決済手段を提供することで、ECサイトでの購入を後押しできます。クレジットカード・銀行振込・電子マネー・コンビニ決済など、多様な決済オプションを用意し、決済方法を充実させることを検討すると良いでしょう。
また、リピーター向けに「後払い」や「定期購入」など、便利なオプションを増やすことも効果的です。
レビュー機能の実装
ECサイトで商品を購入したユーザーが、その商品に関する意見や感想を投稿したレビューは、購入する際の判断材料となります。
レビュー機能を実装することで、他のユーザーの意見がわかり、購入に対する安心感が得られます。購入後にメールでレビューの依頼をすることで、レビューの投稿数を増やすことにもつながります。
入力フォームの最適化(EFO)
ECサイトの入力フォームは、購入を完了するための最後のステップです。フォームが分かりにくい場合や使いにくい場合には、途中で離脱される可能性が高まります。
そのため、離脱が多い場合は原因を見直し、入力項目を必要最低限に絞るなど、ユーザーが使いやすいフォーム作りを心がけましょう。
自動入力補助機能を取り入れることで、入力の手間を減らし、購入完了率を向上させることが可能です。さらに、エラーメッセージが分かりやすく表示されるよう工夫し、ユーザーが途中で離脱しないよう配慮することも重要です。
客単価を引き上げる施策
客単価を引き上げることで、訪問者数と購入率が変わらない場合でも、売上を効率的に増加させることが可能です。ここでは、客単価を引き上げる2つの施策をご紹介します。
- アップセル・クロスセル
- Web接客ツールの導入
アップセル・クロスセル
アップセルは、購入予定の商品の上位モデルを提案することで客単価を上げる方法であり、クロスセルは関連商品をあわせて購入してもらう手法です。
例えば、購入確認ページで「この商品を買った人はこちらも購入しています」といった表示をすることで、追加購入を促進できます。こうした提案は購入者にとっても利便性が高く、購入に結びつきやすくなるため、取り入れると良いでしょう。
Web接客ツールの導入
Web接客ツールとは、ユーザーの行動に応じて適切なタイミングで提案やサポートを提供するものです。
具体的には、サイトを離れそうなユーザーに対し、ポップアップで割引クーポンを表示することや、チャットウィンドウを表示し、ユーザーとコミュニケーションを図ることで購買を後押しするといった施策が可能です。
売上を伸ばすには、ECサイトの改善だけでは不十分
ECサイトの売上を伸ばすためには、サイト自体の改善だけでなく、バックオフィスや商品企画など、根本的な戦略の見直しも必要です。ここでは、売上アップのために効果的なバックオフィス施策と、根本的な改善施策を計5種類ご紹介します。
バックオフィス側でできる施策
ECサイトのバックオフィスでの対応は、ユーザーが商品を注文してから受け取るまでの満足度に影響します。まずは、バックオフィス側でできる次の3つの施策を見ていきましょう。
- 商品が届くまでのスピードを上げる
- 返金保証を付ける
- 商品到着時に魅力的な体験を提供する
商品が届くまでのスピードを上げる
商品が届くまでの配送スピードは、顧客満足度に直結する要素の一つです。即日配送や翌日配送など、早い対応ができるほど、顧客満足度を高められる可能性があります。
具体的には、主要な物流パートナーと提携し、迅速な配送ネットワークを確保することや、倉庫を分散して商品を需要の多い地域にあらかじめ配置することで、配送時間を短縮することが可能です。
さらに、リアルタイムで配送状況を確認できる機能を搭載するなど、顧客が商品の到着を安心して待てるようにすることも効果的です。
返金保証を付ける
商品に返金保証を付けることで、顧客の購買リスクを軽減し、購入意欲を高めることができます。例えば、「30日間の返金保証」や「満足保証」などの施策を導入することで、初めての顧客でも安心して購入しやすいでしょう。
また、返金手続きが簡単であると強調することで、顧客の信頼を得やすくなります。返金手続きの迅速化を図るために、オンラインで申請可能な返金フォームを設け、迅速な対応を心がけることも一つの方法です。
商品到着時に魅力的な体験を提供する
ECサイトで購入した商品到着後の「開封体験」は、顧客の印象に残りやすいポイントです。パッケージに工夫を凝らし、ブランドのイメージを高める要素を取り入れることで、顧客に魅力的な購入体験を提供できます。
エコ素材を使ったサステナブルな包装や、オリジナルのメッセージカードを同封することで、顧客が開封時に特別感を味わえるようにすることもおすすめです。
また、開封時の動画をSNSに投稿してもらうよう促し、自然な形で口コミ効果を狙うことも効果的です。
売上を根本から改善する施策
売上を大きく伸ばすためには、商品の企画やターゲット層といった根本的な部分を見直すことも検討しなければなりません。
競争が激しい市場では、商品自体に他と差別化できる価値がなければ、顧客の関心を引き続けることは難しいため、以下のようなアプローチが効果的です。
商品そのものを企画し直す
市場のニーズやトレンドに合わせ、既存商品の改良や新たな商品を企画することで、売上の向上が見込めます。
例えば、顧客のレビューやアンケートから商品の改善点を見つけ出し、バージョンアップした製品をリリースするといった方法が挙げられます。
また、季節限定商品やコラボ商品を定期的に投入することで、新鮮さを提供し、リピート購入や新規顧客の獲得につなげることも可能です。競争が激しい場合は、独自の付加価値を持たせた商品企画が差異化につながります。
ターゲット層を見直す
ECサイトの売上を伸ばすためには、想定しているターゲット層が、現在の商品に対して適しているかを再評価することも重要です。
ターゲット層を再定義するためには、購買データの分析や市場調査を行い、新たなセグメントにアプローチできる可能性を探る必要があります。
具体的には、若年層向けのファッションブランドがシニア層向けの商品ラインを追加することで、新しい市場を開拓できるケースもあります。
ターゲット層を見直した上で、その層に適したマーケティング戦略を展開し、ブランド認知を高める施策を打ち出すことで、効率的に売上を拡大することが可能です。
ECサイトの売上を伸ばすためのポイント
ECサイトの売上を伸ばすためには、やみくもに施策を試すのではなく、以下の3つのポイントを意識して取り組むことが重要です。
- まずは集客力強化から取り組む
- ユーザー視点の運営を心がける
- さまざまな角度から改善の手を打ち続ける
それぞれ解説します。
まずは集客力強化から取り組む
売上の基盤となるのは「訪問者数(アクセス数)」です。まずはSEO対策や広告、SNS運用などの集客施策を通じて、多くのユーザーがECサイトに訪れるように工夫しましょう。
SEO対策では、関連キーワードでの上位表示を目指し、ターゲットとなる顧客にアプローチできるコンテンツを用意することが大切です。さらに、広告の活用によってリーチを広げ、認知拡大を図ることも売上アップに有効です。
ユーザー視点の運営を心がける
ECサイトを運営する上で重要なのは、ユーザーの視点に立つことです。ユーザーにとって使いやすいインターフェースや、購入までのステップを分かりやすく設計することで、購入率を高められます。
商品情報を充実させることや、写真やレビューを掲載するなど工夫し、購入前に安心して検討できる環境を整えましょう。ユーザーの声に耳を傾ける姿勢が、信頼度の向上やリピーター獲得につながります。
さまざまな角度から改善の手を打ち続ける
ECサイトの売上を伸ばすためには、さまざまな角度から改善の手を打ち続けることがもっとも重要です。商品の企画やバックオフィスの対応強化など、幅広い施策に注力する必要があります。
EC運営は総合力が求められる分野であり、各施策を再現性のある形で継続的に実行することが、売上の停滞を打破するカギとなります。
まとめ -ECは総合格闘技である-
ECサイトの売上を伸ばすためには、サイトの改善はもちろん重要ですが、配送スピードや返金保証、商品が届いた際の体験などバックオフィスの強化にも注力する必要があります。さらに、商品そのものを見直し、SKUの組み合わせや商品企画の再考も求められることがあります。
EC運営はまさに「総合格闘技」のようなものであり、再現性のある施策を継続的に実行することで売上アップにつながります。
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